【笑三郎だより】

歌舞伎俳優 三代目市川笑三郎の公式ブログ。公演の情報から日々のふとした思いまで綴ってます。
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2ショット?

千穐楽まであと三日となりました。

 

今日は新橋演舞場公演の休演日です。

3月に入り一回公演が多くなりましたが、先々のお稽古や各教室なども並行して行っております。

 

 

いよいよ千穐楽間近となり客席の反応も熱く盛り上がってきたように感じております。

何より、團子さんのヤマトタケルはこの二ヶ月で随分逞しくなったなと感じながらご一緒してます。二十歳ですものね。

わたくしの二十歳の頃は何をしていたかを遡ってみましたら、1990年は初めて大劇場での本興行で抜擢(「天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)」の乳母袖垣)をして頂いた年でした。また、二十一世紀歌舞伎組で中村信二郎(現・錦之助)さんが主演の「雪之丞変化2001年」が初演された年でした。完全に前世代の頃ですね(笑)。


では、明日からのラスト2公演もお待ち申し上げております。

 

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いよいよ大詰

新橋演舞場での「ヤマトタケル」も千穐楽まで五日間となりました。

連日のご来場、誠に有難う御座います。


先日、私の倭姫の上演回数を数えて下さった方がXに投稿してくださって620回越えとの事。(ありがとうございます!)

一つのお役を29年間も勤められる事などそうそうある事ではないのでとても有難いことです。

 

 

今日から週末の二回公演、本日(3月16日昼の部時点)通算上演回数1006回目の内、626回目の倭姫も大切に勤めさせて頂きます。

 

感謝

 

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寒かったり暖かかったり

もう3月だというのに寒暖差の激しいこと。

昨日のポカポカ陽気はどこへやら、今朝はお天気が崩れるとの予報で冷え込んでおります。傘や上着などお忘れなく気を付けてお出掛けください。

 

歌舞伎興行に休演日のシステムが導入されて以来、コロナ禍以降の時短公演の休演日の時は然程にも感じませんでしたが、このヤマトタケル公演に限っては一回公演や休演日は心底有難いと思います。

 

 

そんなヤマトタケルも3月公演の中日を過ぎ、いよいよ先が見えて来ました。

それでは、本日も新橋演舞場でお待ち申し上げております。

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1000回記念

本日の昼の部で、スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』の上演が通算1000回に達成致します。

初演から38年の時を経て、更に演者も世代を越えてこうしてこの日が迎えられました事はこの演目に携わり続けている私たちにとりましては大変感慨深い思いです。

これもお客様方のご支援、ご声援あってこそと心より御礼申し上げます。

 

 

先ず以て、初演を成し得て下さった先人方、長年この作品を支え続けて下さっている関係者各位への感謝と敬意を胸に、本日の舞台を努めさせて頂きます。

今日という日を経て、この『ヤマトタケル』が引き続き天高く翔けつづけて参れますよう、変わらぬご贔屓のほど、宜しくお願い申し上げます。

 

・・・ところで、私の倭姫は今日で何百回目ぐらいになるのでしょうね?

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伊吹山のヤマトタケル

今回、『ヤマトタケル』を初めてご覧になられるというお客様が多いようですので記録として裏話を一つご紹介させて頂きます。


只今上演中のスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の上演時間は休憩を含めて4時間15分ですが、12年前は15分長かったです。このように上演の度にブラッシュアップされてきた訳ですが、初演当時は今より更に40〜50長く昼の部の終演時間は16時近くで二回公演の日は、カーテンコールで序幕の聖宮に登場する役で出ている人は鬘だけ外して、衣裳は着たまま楽屋で待機しておりました。

やがてどんどん刈り込まれていったので今では登場しなくなった場面や衣裳などもあります。勿論、初演の段階で梅原猛先生の原作にありながら大幅にカットされた場面もあります。本編ではサラッと通り過ぎてますがとても細かく描かれております場面が大碓命と小碓命の兄弟が論議を重ね争いに発展してしまう大碓の家の場。三幕の尾張の国の場とそれに続く伊吹山の鬼人たちの場面です。それがお蔵入りになるのが勿体無いと企画されたのが後に私たちの活躍の基盤となる「二十一世紀歌舞伎組」誕生に繋がる渋谷のパルコ劇場での若手公演として上演された「伊吹山のヤマトタケル」です。

私は入門から二年目の18歳だったのですが、この時に初めて倭姫を勤めました。しかし、本編で描かれている場面は逆にサラッと通り過ぎる演出だったので草薙の剣と謎の袋を渡すだけに登場するだけの出番でしたが、もう一役メインとして抜擢して頂いたお役が、この「伊吹山のヤマトタケル」にしか登場しない伊吹山の鬼たちにさらわれる里の女オトクという役でした。

 

↑里の女オトク(衣裳は走水の海上の船頭のデザインの引用)

 

この他、早替り無しで大碓命(現・錦之助さん)、小碓命(現・右團次さん)兄弟が論議をするシーン、尾張の国の場面もメインとしてしっかりお芝居になっており、尾張の国のラストの宴の舞は全員による群舞で踊られましたが、こちらは後にスーパー歌舞伎の本編に逆挿入されました(今回は初演通り二人だけの連れ舞に戻されております)。

ただ、世の中の風潮もあり伊吹山の私のオトクの場も含めてこの「伊吹山のヤマトタケル」は今の時代には上演が難しい内容となってしまいました。

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